都市部において商業施設などを建設するにあたって頭を悩ませるのが、その施設に付帯する駐車場の台数をどのようにして確保するのかです。都市部はもともと過密で利用できる土地に限りがあることから、商業施設そのものの建築だけでも土地は飽和状態であり、とても所要台数の駐車場の敷地を確保できる余裕はないといえます。そのようななかで一条の光となりうるのは、自走式立体駐車場とよばれる構造の駐車場です。駐車場といってもいろいろな種類がありますが、ごく一般的なものは青空駐車場ともいわれる平面駐車場であり、これは土地を造成した上にロープや標示などで区画をして駐車場をそのまま設置するものとなっています。
こちらは建築物はほとんど必要ないので低コストであることは一目瞭然ですが、そのかわりに駐車場敷地の面積相応の台数しか収容することができず、コストパフォーマンスとしてはあまりよいものとはいえません。いっぽうの自走式立体駐車場のほうは、立体的な建築物で多層の駐車場をつくりあげる方法であり、なおかつ各階はスロープを設置して自動車がそのまま自走できるような構造になっているものをいいます。機械で自動車を上層階まで移動させる方式とは違い、ドライバーがみずから運転して上層階まで自動車を移動させればよいため、機械のオペレーターを常時配置しておく必要がありませんし、機械が不要な分だけ低コストでの運用が可能です。このように自走式立体駐車場は都市部における駐車場不足の解消に効果を発揮します。